自己消滅の部屋 by Yayoi Kusama
先々週からパビリオン・トウキョウ2021のアート巡り中。
草間彌生のオブリタレーション・ルームが面白かった。
何が良かったかというと、来場者の参加型であるというところ。
面白かったポイントは以下かな。
1.参加者が心惹かれるアイテムへの拘り
2.参加者の意思を許す環境とその結果としての逆説的な消滅
1.
やたら色んなアイテムが置いてあるんですよ。細かい食べ物とか、おもちゃとか、謎すぎる置物とか、衣類とか、植物とか。
おまけに最後の部屋のコンセプトは「日本の夏休み」。
子供時代を日本で過ごした人なら誰でも、何かしら一つは「あ、これ好き」とか「懐かしい」とか心惹かれるものがあるんじゃないかと思います。
・・・とはいえスポーツ系アイテムは全然なかったなあ。日本の多くの少年少女の定番なのに。これ、草間さん本人の自分の思い出とか理想の部屋なのかも。
2.
白塗りのアイテムにシールを貼るんですが、まーみんな好きなことするんですよ。アイテムに顔書いちゃったり、壁に自分のイニシャルらしきもの入れちゃったり、水道の蛇口から水が流れているかのようにシール繋げて見たり(これは結構好き)、水玉を何重にも重ねて模様にしたり。
それ、草間彌生っぽくないじゃん!と言いたくなるんですが、結局草間さんの世界観:単一モチーフの反復と増殖による自己消滅を壊さないと思うんですよね。
ランダムな表現者がランダムな意図を加えていくことでそこに法則性はなくなり、結局個々の意図すらも大量の水玉の中に埋没していく。
皮肉的に見るとこれって、都市における個性の埋没を表しているかのよう。
草間彌生作品がやや不気味なのはそういう「消滅」への危機感を煽るからなのかもしれない。
しかしそれが絶望的ではないのは、埋没により「自己消滅」しつつも消去はされていないという点。冷たい、だがどこまでも鮮やか。そんな都会的な作品と向き合いたい方は渋谷のど真ん中へ繰り出してみては。