小中学校の義務教育制度について考える
「ケーキの切れない非行少年たち」という記事を見つけた。
非行少年の中には、知的障害とはいかないまでもある程度の知的なハンディを負っており、故に学校での勉強や人間関係がうまく行かず非行に走ってしまう例が多く見られるという。
彼らが非行に走るのを阻止するにはという議論以前に、なぜ彼らは居場所をなくしてしまうのかについて考えたい。
本文によれば、IQ70未満、かつ社会的にも障害があれば軽度知的障害とみなされるが、かつてはこの定義がIQ85未満であり、その層も知的にハンディを背負っている可能性がある、そしてその境界領域にいる子供は約14%も存在すると想定されるとのこと。
要は今の日本で、個々の理解力・スピードに合わせた教育を行えるかというのが課題であり、これを現在の日本の小中学校の義務教育システムの中で解決することは恐らく難しいだろう。
一律の小中学校教育では、教員は30-40人学級の中の一人一人に異なる教え方をすることはできないため、結果として、目指すところは平均かそのやや下くらいがターゲットになると思う。
そうなると、どうしても置いてけぼりになってしまう層が出てくるのは今の制度上の限界と言える。
では、どうすべきか。
学校の中でレベル別教育を導入する手もあるかもしれないが、ただでさえ過重負荷が話題になりがちな日本の先生たちの負担を更に押し上げかねない。
筆者としては、子供たちが学び育つ場の選択肢を増やすことだと考える。
つまり、ホームスクーリングやオルタナティブスクールをもう少し身近なものにしていくことだ。
日本では学校教育法により学校就学義務が義務付けられているため、法律で定められた小中学校に行かせなければならないが、米国やカナダ、英国、フランス等欧米諸国ではホームスクーリングが合法であり、より受け入れられているとのこと。
もちろん、すべての子供が学校に通い基礎教育を受けられるという権利は守られるべきであるし、また、米国など多様な教育が認められている国でもその一方で教育格差という別の問題が深刻であるという点は無視できない。
しかし、一律の学校システムにすべての子供が馴染めるとは限らない以上、先進国の一員として、もう少し日本も学びの選択肢を柔軟にしても良いのではないだろうか。